原因不明の慢性症状 5 MPSによるもの

  • 2014.07.02 Wednesday
  • 11:07
まずはトリガーポイントが原因だった症例を見てみましょう。

症例8 両腕が常に痛い 30代男性 
 半年前から左腕が痛くなり、病院で検査したら軟骨が出て神経を圧迫していると言われたそうです。そのうち右側も痛くなり、両方の上腕(肩から肘まで)が常に痛く薬が効かないので、酒で酔いつぶれて寝るしかない状態でした。

症例9  肩の痛み 40代男性
 1年前スキーで転んで、手を胸の前に構えた状態で胸を強打した。その後背中が痛くなり、春頃から左肩が痛くなって、秋には肩の痛みが強くなった。今は夜も少し痛む。痛み止めや湿布は一時的に効くが治らない。 重いものを持ったり、左手を使うと痛みが強くなる。  

症例8は軟骨が神経を圧迫していると言う説明でしたが医師による治療が効かなかった例です。症例9は整形外科で診てもらって治療を受けても治らなくて来院したケースです。この2例がどうなったかというと、

症例8    
 頚の側面と上腕に押すと痛みが出現するポイントが見つかったのでそこに針をして電気(低周波)を流す方法をとり、十日間で四回治療したら痛みが二割まで激減し、五回目で右腕の痛みは止まり、治療開始から一ヶ月、十回の治療で良くなりました。

症例9  
 肩はグルグルといくらでも回せて動きに制限はなく、肩関節には押して痛いところも見られませんでした。なのに、肩の後ろ側に痛みを訴えるので、 丁寧に背中を探っていくと、ちょうど打撲した胸の反対側に当たるところに強い圧痛を伴うしこりを見つけました。そこに鍼を打ったところ、2回治療して痛みは1割ぐらいに減り、4回の治療で1年苦しんだ痛みはすかり消えました。  

 いずれもトリガーポイントを見つけて治療したら治りました。このトリガーポイントはレントゲンやMRIでは映らない変化なので、画像検査では見つからないとも言えます。トリガーポイントの見つけ方は、痛い動作で使われている筋肉を触って症状を再現する圧痛を探します。的確にそうしたポイントを見つけ出す知識と技術が必要な検査なので、一般に普及していないのが現状です。  
 また、なぜ薬(主に鎮痛剤)が効かないかというと、コリをほぐし、局所の血流を改善して過敏になった知覚神経の末端を鎮めることが痛みを取る方法なので、鎮痛剤(消炎剤)は効きません。  

 さらにトリガーポイントが原因だった症例を紹介しましょう。

30代女性  
 半月前から何となく左下肢が痛くなっていたが、最近左の膝に痛みを感じる。と言って治療に見えました。 診たところ膝関節には問題が無く、太ももに強い圧痛点(トリガーポイント)がいくつか見つかったので、その圧痛点に鍼を刺したところ一回で痛みが2〜3割に減り、2回治療して良くなってしまいました。

70代男性    
 10日前から歩きすぎたせいか左膝の内側が痛く、ふくらはぎもつれると言って治療に見えました。 だいぶ太っている方なのですが、本人が痛いと指さすところには圧痛はなく、その少し上にあった圧痛に鍼をしたところ痛みが減りました。  
 びっこを引かず、普通に歩くように指示し、2回目の治療では膝の後ろにトリガーポイントを発見、それを治療して痛みは4割減りました。その後も3日おきに治療して2割ぐらいずつ痛みが減り、12日間で5回治療して良くなりました。
 
60代女性  
 10日前から左膝の内側が痛くなった。健康のため週に2回ぐらい20分の散歩をしている以外特に思い当たることはない。と言って治療にみえました。 小柄でやせている方なので、体重が重くて膝が痛くなる訳もありません。膝の所見を取ってみてもさしたる異常は見つかりませんでした。そこで、どこか離れたところから膝に痛みを飛ばしているポイントがあるかもしれないと思い、あちこち探ってみると、膝から15僂阿蕕ぞ紊瞭盡圓縫灰螢灰蠅箸靴振い圧痛が見つかりました。  
 ちょっと押しただけでも身をよじるように痛く、そこを押し続けると膝の内側に痛みが走り、まさに患者さんが訴えていた痛みが再現できました。そこで、しこりに鍼を当てて低周波を流したところ膝の痛みが取れました。

 トリガーポイントを勉強するようになってから腰痛の治療成績がグンと良くなりました。それは腰痛の原因が脇腹の筋肉群にあるケースを覚えたからです。以下に並べるような症例をわずか2ヶ月の間に次々と経験しました。

70代男性
 3日前の朝靴下を履こうとして腰が急に痛くなった。今年に入って3回目の腰痛だと言って来院されました。上体の前後屈で腰が痛くなり、痛いところの上の方にトリガーポイント(痛みの原因になる筋肉のコリ)が見つかったので、そこに鍼を打ってみたものの、さほどの効果は出ませんでした。  
 翌日には腰の痛みが右側に寄ってきた。右足を挙げるのがつらいと訴えが変わったので、お腹の深いところにある大腰筋をゆるめる手技を施したところ、少し楽になりました。3日後だいぶ動けるようになったが、時々ぎくっと痛みが横に走ると言うので脇腹を探ったら、左右両方に強い圧痛点がいくつも見つかり、そこに鍼を追加して打ったところ治療直後から腰が楽になりました。  
 さらに3日後には前後屈は楽になり、その後3回同様の治療を行い次第に脇腹の圧痛点が減って治療を終えました。この治療経験がきっかけとなり、痛みが横に走る腰痛は、必ず脇腹の圧痛を探るようにしたところ、次々と同じような症例に遭遇しました。
 
80代女性 
 いつもは肩こりの治療が多い方なのですが、この日は腰が痛いと来院されました。痛いところを指し示してもらったら、腰に一文字を書くように手を動かされたので、脇腹を触ると筋肉が硬くなって沢山の圧痛が見つかりました。腰と共にそこにも鍼をしたら、一回で腰が楽になりました。

70代女性
 荷物を持ってぎっくり腰になった。明後日には謡の発表会で出かけなければいけない。と治療に見えました。痛みが腰から腹まで響くとおっしゃるので、両脇腹を探ったところ、割と前の方まで筋肉が硬くなって強い圧痛が沢山見つかりました。腰と脇腹の圧痛点の鍼治療で痛みは少しずつ減っていき、2週間の間に7回治療して良くなり、最終的に脇腹の圧痛も無くなりました。

50代女性
 昨日雪をつついて腰が痛くなった。前屈するとギクッとくる。と言って治療に見えました。痛みを訴える腰仙部に鍼をして4回の治療でだいぶ良くはなったものの、今ひとつ抜けきらない感じが残っていたところで、花の植え替えをしたところまたピクッと来てしまいました。この時初めて脇腹を探ったら圧痛がいくつか見つかり、そこに打ったとたん腰の痛みが楽になり、足が軽くなったと驚かれました。

20代男性
 2〜3日前から左腰がモヤモヤする。太ももの後ろも重だるい。と言って治療に見えました。腰を後屈、右側屈、左回旋すると左腰に痛みを感じ、脇腹を探ると、左の腰方形筋が硬くなって、肋骨への付着部に圧痛が見られました。そこを狙って鍼を打ったところ、2回の治療で腰痛は良くなりました。パソコン画面が正面と左にあり、常に左に上体を向けて画面を見ていたことが左の腰方形筋に負荷をかけた原因だったようでした。

60代男性
 慢性腰痛で時々治療に見える方です。この日は横に腰が痛いとおっしゃるので、脇腹を探ったら、強い圧痛が複数見つかったので、埒欧砲靴胴と脇腹の圧痛点に置鍼(鍼を刺してしばらく置いておく方法)したところ、治療直後から痛みが楽になりました。 この方はとても過敏な人で、いつもは鍼を深くは刺せないのですが、この時は珍しく必要なところまで鍼を差し入れても痛がらず、客観的にも腰と脇腹の筋肉がゆるんだ感じがわかりました。
 
60代女性
 前日青森でぎっくり腰になり、窮屈な思いをしながら車に揺られて帰ってきた。と治療に見えました。 前屈すると左の腰と左の脇腹に痛みを訴えるのですが、左を上にして横寝になってもらうと腰が痛いとおっしゃるので、仕方なくまずはうつ伏せで腰の鍼を打ったのですが、緊張はゆるまなかったので、改めて左上の横寝になってもらい、脇腹の圧痛にも鍼を刺して5分ほど置鍼したら腰が軽くなってしまいました。  
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