原因不明の慢性症状 1 精神的なもの

  • 2014.08.07 Thursday
  • 23:38
 5月第3〜5木曜日は毎年恒例の「なるほど!はり・灸講座」を置賜総合文化センターで開きました。その抜粋を数回に分けて紹介します    

 

 今年は『原因不明の慢性症状』と題して、病医院の検査で原因が分からず治療効果もなくて当院に来院されたケースで問題が解決した例を分析した結果、3つの要素が絡んでいることが分かったので、症例と共に紹介しました。  

 3つの要素とは、精神的な問題と生活習慣などによる問題行動、そして筋、筋膜性の問題でした。これらが単独、もしくは絡み合って原因不明の慢性症状と呼ばれるような問題を起こしていました。  

 別の言い方をすれば、この3つの要素が絡んでいる場合は、検査に異常が出ず、薬も効かないために病医院では問題が解決しにくいと言えます。当院が米沢で26年間営業してこれられたのは、こうした問題に地道に取り組んできたからだと思います。  

 かなりの分量ですが、少し歯ごたえのある情報をお望みの方用にアップします。症例はこのブログですでに紹介したものがほとんどですが、話の流れもあるので、あえて再度紹介します。

 まずは、精神的な問題が原因だった症例2つ です。

症例1 10代 女児 歩けない  
 弟と遊んでいて二段ベッドから落ちて以来歩けなくなったと小学低学年の女の子が連れてこられました。検査ではどこも悪いところは見つからなかったそうで、女の子の足に麻痺はありませんでした。  
 おばあちゃんが子供部屋を離れている間に落ちたのだそうで、物音に気づいたおばあちゃんがびっくりして動けなくなっていた子供を発見し「何してんなだ!んだがら言ったべ」と言って叱ったために、子供の恐怖心と不安が固まって容易に解けなくなったようでした。

症例2 不安から来る腰痛50代女性      
 一ヶ月前から朝シャンで前屈みになると左下肢痛が出ると言って治療に見えました。診察してみると、さしたる所見がなく問診から家事や介護での疲労が原因と判断して朝シャンを止めて睡眠時間を増やすように指示し、腰の治療をしたのですが、4日後に来院したときの話では、治療した日は良かったが、翌朝からは腰掛けるとズキンと痛みが走り、夜間痛があり以前よりもひどくなったとかなり不安をつのらせての二診目となりました。    

 ではこうした症例がどうやって治ったかというと、症例1は二度ほど鍼灸治療を試みたのですが、少女は一向に歩こうとしません。両親も色々と励ましたが事態は改善しないまま日が経ち、とうとうおばあちゃんが、いたたまれなくなって孫の手を取りそっと歩かせてみたそうです。『済まなかった』という思いはその手を通して少女の心にやっと届いたのでしょう。ようやく少女は歩けるようになりました。  

 PTSDという言葉があります。Post traumatic stress disorder 心的外傷後ストレス障害です。端から見ても怖かっただろうなーと分かるケースでは、周囲の人は優しく接することが多いのですが、大したことはなかっただろうと思われるようなケースでは、逆に「なにやってんだ!」的な対応をされることがあり、そうしたケースで プチPTSDが発症することがあります。  
 こうしたケースを扱う場合、まず、事故が起きたときの詳しい様子と、本人がどのぐらいの恐怖を感じたのか、そして第1発見者がどんな言葉をかけたのかをうまく聞き出す必要があります。その上で、本人の取り残された感情をどうやって癒し、解きほぐしていくか考えてアプローチします。  
 この子の場合は、問題が精神的なショックにある事を家族に知らしめ、治療の経過を見せていくことで女児のショックの大きさを理解させ関係者が問題解決に乗り出すのを誘発することで解決できた例でした。  
 私の役目は、身体的に大きな問題が起きていないことを保証し、安心させると共に、取り残された本人の感情を本人に代わって周囲に代弁する形で問題を周囲と共有させ、心のしこりを取り去る環境を作ることにあります。   

 ところで、もともとあった身体的弱点に不安や緊張が加わると、この程度のことでそんなに痛いはずがないのだがなー?と医者が首をかしげる痛みを生み出してしまうものです。良くあるのが、本人が癌を疑っているケースです。そうした場合は容易にパニックを起こします。     
 これまでの経験から臨床的勘でピンと来たら、患者さんに「正直自分の体に何が起こっていると思っていますか?もしくは、何が起こって欲しくないと思っていますか?」と言う質問をします。  
 さらにそう思うようになったいきさつも詳しく聞き出します。家族や親戚、友人などに同じような症状で困った病気になった人がいたかどうかや、周囲から入ってきた情報に自分を不安にさせるものがないかどうかなどです。そうすることで患者さんの懸念や疑念をあぶり出してその誤解を解くようにアプローチするとパニックが治まり、ドラマチックに治療効果が現れます。症例2はまさにそうした典型例です。  

 私の見立てではこうも悪化するような病態とは思えないことから、もしかして重篤な疾患を疑っているのではないかと聞き出してみると、13年前乳がんの手術や家族や親戚の多くが癌で他界していることなどから今回の痛みが癌から来ているのではないかと内心懸念していたと告白されました。  
 思った通り癌の不安を隠し持っての来院でした。そこで病院に紹介状を書き患者さんの希望に添って出来る限りの詳しい検査を行ったうえで癌の再発はないと医師に断言してもらいました。お陰で患者さんの疑念と不安は解消し、何の治療もしないで痛みはきれいに消えてしまいました。  
 結局症例1はキーパーソンのおばあちゃんが手を引いて歩かせたら治り、症例2は内心癌の再発を疑っている事を突き止め、紹介状を書いて病院で詳しい検査をしてもらったら治りました。  
 心理的な問題に気づき、本人が納得する方法でそれを解決してあげれば症状は消えてしまいます。ポイントは納得する方法を如何に上手に見つけ出すかです。
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